交通事故に遭うと、脳が損傷を負うことは少なくありません。
まだまだ判例が少ない「高次脳機能障害」についてここでは説明します。
頭を少しでも打ったら、絶対に精密検査を受けておきましょう。
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、とても簡単に説明すると以下のような内容です。
脳の高次的機能に生じた障害のことをいう。医学的には明確な定義はないとされている。
認知障害や行動障害、失語症、人格変化等の症状が生じるとされており、障害の程度によっては、日常生活に多大な支障を来す。
主要な症状としては以下のようなものがあります。
記憶障害
受傷する前の記憶を失ったり、また受傷した後の新しい記憶が保持されなかったりすることを指します。
注意障害
集中することが困難になったり極端に注意力が散漫になるなどを指します。
遂行機能障害
目的を達するための行動を行ったり、計画を立てて遂行することが困難になることを指します。
社会的行動障害
意欲が極端に乏しくなったり、感情をコントロールできずに攻撃的になったり、様々な理由で対人関係を維持することが困難になったりします。事故の前後で人格が大きく変わってしまう場合もあります。
これらが、脳の損傷により引き起こされるのが「高次脳機能障害」で、事故との因果関係が証明されれば後遺障害と認められます。
高次脳機能障害の診断は難しい
ところが、高次脳機能障害は事故との因果関係が証明しづらい上に、適切な等級の獲得もとても難しいのです。
脳の小さな損傷は発見が困難
まず、脳に損傷があっても小さなものはMRIやCTなどで発見されること自体がとても難しいのです。
また、頭をぶつけたということを軽く考え、精密検査を行うことなく診断が出てしまうこともあります。
そうなりますと、事故当時の画像としての証拠が残らないので、事故との関係の証明が難しくなってしまいます。
自覚症状が出にくい
また、脳に損傷があってもすぐに症状が出ず、徐々に出てくることが大変多いものです。
例えば、交通事故の影響で脳内で出血があっても、最初は少量であれば、医師が気がつかないことがあります。
ですが、だんだん出血量が多くなり、脳内を圧迫するようになって初めて症状として自覚されてくることがあります。
その頃には、事故から随分と時間が経っていることが多いので、事故との因果関係の証明は非常に困難になってきます。
ですので、高次脳機能障害の可能性を視野に入れて、ご家族や身近な知人の方などに、ご自身の行動の変化を客観的に見てもらい、明らかな異常が見られた場合はすぐに医療機関にいくことをお勧めします。
後遺障害認定後の発覚も
さらには、すでに後遺障害の認定が済んでしまってから症状が発覚することもあります。
後から高次脳機能障害が発覚し、それが事故との因果関係が医学的に立証できるものであれば、異議申し立てをすることができます。
ただし、申し立てが認められることはなかなか難しくまだ少数です。ですので、最終的には訴訟になるケースもあります。
事故の被害にあったらまず精密検査を
このように、高次脳機能障害はその発症が遅くなることが多く、そうなりますと後遺障害の認定結果が妥当ではない可能性が高くなります。
事故による辛い症状に悩まされているのに補償が少なく、泣き寝入り…といったことを避けるために、まずは事故の被害にあったら精密検査を十分に行いましょう。
また、後遺障害の等級を妥当なものにするためには、やはり法律のプロフェッショナルに相談するのが良い方法だと言えます。
私たち弁護士法人法律事務所DUONは、茨城県全域で、交通事故に関する多数の問題を解決して参りました。
事故に遭ったら、そして起こしてしまったら、お気軽にご相談ください。初回相談料は無料とさせていただいております。